舌小帯短縮症について
舌小帯短縮症(俗称、つれ舌)は舌癒着症の1種で、舌の裏側にある膜状の組織が舌の先端までついていて分厚いため、舌の動きが制限されている状態です。成長によって改善することもありますが、赤ちゃんの時期に哺乳で問題が起こったり、3~5歳になっても明瞭な発音ができないケースや食べ物を頻繁にこぼしてしまうなどの問題につながる場合があります。そのため、少し昔には赤ちゃんに舌小帯短縮症が認められると早めに切って解消していました。
ところが日本小児科学会が2001年に舌小帯短縮症と哺乳は関係がなく治療は必要ないという声明を出したことから、治療を受けられる医療機関が大幅に減っています。それでも舌小帯短縮症によるお子様の哺乳や発音の問題でお悩みの方は多いのですが、相談できる医療機関がほとんどなく、治療を受けられる医療機関も数少なくなってしまっています。当院では舌小帯短縮症の診察、手術に積極的に取り組んでおり、ご相談にも気軽に応じています。
症状について
こんなお悩みはありませんか?
舌小帯短縮症では舌の動きが制限され、舌を長く出す、持ち上げることができませんので、下記のような症状を起こすことがあります。
哺乳に関するお悩み
- 浅飲み:乳房への吸い付きが浅い
- 眠り飲み:吸う力が弱くて途中で疲れてしまい、眠り込む
- 体重が増えない:うまく吸えずに哺乳量不足の可能性
- 乳首が痛い:舌で吸えず、歯茎で噛んで吸うために起こる痛み。
- 乳房がしこる:吸う力が弱く、乳管が詰まりやすい
舌に関するお悩み
- 舌先がハート型になっている
- 舌足らずで「ら行」「さ行」「た行」などの発音が不明瞭
- ソフトクリームを上手に舐められない
- 食べ物を口からボロボロこぼす
診断について
症状やお悩みを問診で医師が詳しく伺い、年齢や外見、機能を評価して経過観察や手術など適した治療方針をお伝えし、内容についてわかりやすくご説明しています。
手術について
年齢によって手術内容が大きく変わる場合があります。
1歳未満の手術
表面麻酔剤を塗って舌小帯を切開する日帰り手術で、手術所要時間は数分です。出血はガーゼによる圧迫で止血でき、傷口を縫う必要はありません。止血後に出血が止まったことを確認したら授乳が可能です。しばらく院内で過ごしていただき、再出血がなく、麻酔薬に対するアレルギー反応のアナフィラキシーがないことを確認したらご帰宅となります。
1歳以上の手術
全身麻酔による手術を行う場合は、数日の入院が必要です。吸収糸で縫うため、抜糸の必要はありません。なお、発音に問題がある場合には、手術後、傷が治ってから、言語聴覚士によるリハビリテーションを受けていただいています。
術後のケアについて
再癒着を予防するために、舌のストレッチを行う必要があります。1日4回程度を1ヶ月ほど継続して行います。癒着が起こった場合には、すぐに指で剥離させます。1ヶ月経過して症状改善が確認できたら治療終了です。
なお、全身麻酔による手術で切開と縫合を受けた場合は、ストレッチをする必要はありません。
費用について
健康保険適用であり、乳幼児医療券を使うこともできます。