アレルギー性鼻炎のレーザー治療
アレルギー性鼻炎では、空気とともに吸い込まれたアレルゲンが鼻の粘膜に付着し、それを排除するためのアレルギー反応が起きて、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状となって現れます。 アレルギー反応が起きやすい場所の粘膜をレーザー照射によって焼灼(しょうしゃく)し、その部分の感覚を鈍化させて過剰なアレルギー反応を抑制するのがレーザー治療です。この治療により、特に鼻詰まりに対してより高い効果が得られます。症状を完全に消失させることまでは難しいのですが、大きく軽減するケースがほとんどを占め、80~90%の方に効果が認められると報告されています。また、その持続期間は平均1~2年程度ですが、安全性が高いため効果が薄れた際には再び受けられます。さらに、効果が持続している間は処方薬の量を減らせるため、わずらわしい服薬管理や副作用も軽減できます。 手術自体は通常10分程度で終了し、当院では日帰りで行っております。
レーザー治療をおすすめしたい方
- 症状が重くて日常生活に大きな支障をきたしている
- 年間を通して特に鼻詰まりの症状がひどい
- 妊娠中など何らかの理由で薬物療法を行えない
- 副作用が心配など何らかの理由で薬物療法に抵抗のある
- 緑内障や前立腺肥大症などの持病によって一部の薬が禁止されている
- 薬物療法では十分な効果が得られなかった
- 薬物療法で処方される薬の数を減らしたい
- 仕事や介護が忙しくて、頻回の通院が難しい
- 受験や就職活動の前に症状を軽減しておきたい
- 時期を気にせずに屋外でのスポーツを楽しみたい
レーザー治療を受ける時期
通年性と季節性、どちらのアレルギー性鼻炎なのかによって、レーザー治療を受けるのに適した時期が異なります。
通年性アレルギー性鼻炎
ハウスダストなどのアレルゲンが年間を通して存在するので、時期を問わずにレーザー治療を受けることができます。
なるべく症状が軽い時にされるのが好ましいです。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
アレルゲンである花粉の飛散時期が限定されているので、レーザー治療による効果の持続期間が平均1~2年程度であることを考慮すると、飛散時期の1ヶ月ほど前に治療を受けるのが最も理想的だと考えられます。
術後の経過と注意点
アレルギー性鼻炎のレーザー治療は比較的高い安全性や合併症の少なさで知られてはいますが、一方で必要最小限の規模とはいえ体を侵襲する手術であることに変わりはありません。そのため、治療後に若干程度の痛みや出血などの症状が生じることもあります。 そこで、治療後に現れやすい症状に関する注意事項を以下にご紹介します。
痛み
痛みは手術当日、局所麻酔が切れた際に若干生じる場合がある程度で、それ以降に生じることはほとんどありません。
出血
手術を受けた当日は若干の出血が生じる場合があります。特に鼻をかんだりこすったりした際に出血しやすく、それにより出血の生じる状態が長引く可能性があるので、こうした行為は控えてください。
入浴
出血の原因になる場合があるので、手術を受けた当日は入浴をシャワーだけにとどめ、アルコールの摂取を控えてください。同様に、その後1週間も長時間の入浴を避け、激しい運動を控えてください。
鼻水
レーザー照射に対するやむをえない反応として粘膜に一時的な腫れや分泌液が生じ、それにより手術後2~3日間は鼻水や鼻詰まりが強く現れる傾向があります。
鼻づまり
手術後1~2週間は粘膜にかさぶたが生じ、それにより鼻詰まりが強まることがあります。このかさぶたは2週間ほどで自然に剥がれるので、無理にご自分で剥がすようなことは控えてください。
こうした手術後の諸症状は、個人差こそありますが、総じて1~2週間を経過すると落ち着き始め、3週間~1ヶ月程度で解消される場合がほとんどです。ただし、症状が気になる場合には途中でご来院いただき、安全な形で処置を受けるようお願いしております。
治療費用
アレルギー性鼻炎のレーザー治療には保険診療が適用されます。費用の目安となる金額は以下の通りになっております。
3割負担 | |
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レーザー治療 | 約9,000円 |
※診察やお薬の処方代は別途かかります。