日帰り手術について
日常への影響をできるだけ抑えて、患者さまが変わらない生活を続けていける手術をという考えから日帰り手術は誕生しました。侵襲の少ない手術手法や機器の進化、そして麻酔方法の洗練により実現したもので、手術後、7~10日間の安静や連日の通院が必要ですが、ご自宅で過ごせるためリラックスしてお過ごしいただけます。
安全で精確な手術のために
CT検査をおこなっております
当院にはコーンビーム型CTを導入しており、来院されたその日の撮影も可能です。耳鼻咽喉科用に特化したCTですので、イスに腰掛けたまま撮影でき、耳や鼻などにある細かい骨の抽出に優れています。数十ミクロンという高精細な画像を得ることができ、画面上に撮影範囲内の前後・左右・上下の任意の面を表示できるため、きめ細かい観察が可能です。
当院のCT検査の特徴
被ばく量を軽減する機器です。
頭部の一部を撮影対象とした撮影ですから、被ばく線量をCTD/w値で一般的なCTと比較すると実効線量は7分の1以下とされています。※この数値は、(株)モリタ製作所実測値に基づいたものです。
撮影時間を短縮
実際の撮影時間は、イスに腰掛けていただいてから約20秒です。また、画像はその場ですぐ確認でき、お待たせすることはありません。
高解像な画像
一般的なCTに比べ、歪みがなく、超高解像度の画像が得られます。
撮影のため別日に他院へ行く必要がありません
当院にCT機器がありますので、検査日を別にとって、大学病院などに行く必要がありません。
手術の必要性が正確にわかるだけでなく、保存治療の効果や症状の進行状況をしっかり把握できるため、より適切な治療に結びつきます。顔面の形状を3Dで確認でき、骨折の評価にも優れています。
当院では通常のCTに比べて半分以下の被ばく量となる検査機器を導入していますが、それでも無用な医療被ばくをできるだけ避けるよう心がけており、安全を考慮しながら適応を慎重に見極めた上で検査の必要があると判断した場合にのみ検査をおすすめしています。念のためCT検査を受けてみたいというご要望にはお応えしかねますので、あらかじめご了承ください。
当院で行っている日帰り手術
なお、アレルギー性鼻炎のレーザー手術や滲出性中耳炎のチューブ留置術は自宅安静と連日の通院が不要になっています。
また、副鼻腔炎と鼻中隔湾曲症、鼻茸切除は同時手術も可能です。
スケジュールや費用などについては、お気軽にお問い合わせください。
当院の手術実績
手術項目 | 2012 | 2013 | 2014 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鼓膜チューブ挿入術 | 31名 | 33名 | 29名 | 22名 | 23名 | 18名 | 18名 | 15名 | 16名 |
鼓膜形成術 | 3名 | 8名 | 7名 | 3名 | 3名 | 3名 | 2名 | 3名 | 3名 |
下甲介粘膜焼灼術 | 71名 | 53名 | 42名 | 41名 | 40名 | 44名 | 68名 | 65名 | 93名 |
下甲介切除術、粘膜下下甲介骨切除術 | 3名 | 22名 | 12名 | ||||||
内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型 | 46名 | 46名 | 54名 | 68名 | 79名 | 91名 | |||
副鼻腔手術 | 12名 | 12名 | 14名 | 26名 | 26名 | 25名 | 37名 | 41名 | 47名 |
先天性耳漏管摘出術(先天性耳漏孔) | 1名 | 2名 | 2名 | 3名 | 0名 | 2名 | 1名 | 1名 | 0名 |
鼻中隔湾曲症 | 17名 | 13名 | 25名 | 22名 | 28名 | 34名 | |||
舌小帯 | 10名 | 20名 | 11名 | 8名 |
日帰り手術はこんな方におすすめできます
今まではお忙しくて入院のスケジュールをなかなか作れなかった方でも手術を受けることが可能になっています。
日帰り手術であれば、お仕事や育児、介護でお忙しい方、学業や研究、受験でまとまったスケジュールを空けることが難しい方でも手術を受けることができます。また、入院する場合には周囲に病気であることを伝える必要がありますし、余計な心配をかけてしまう場合もありますが、そうしたこともありません。
日帰りとはいえ手術ですから、術後にご自宅で安静に過ごすための準備がある程度は必要で、安静を保てないと出血などが起こりやすくなるため、患者さまのご理解やご協力は必要不可欠です。
既往症などにより日帰り手術が適さない場合もありますので、まずはお気軽にご相談ください。
手術の流れ
局所麻酔の場合
診察
医師による問診・診察を行います。必要に応じてCT検査を行い手術の適応を判断します。
検査
血液検査や心電図、胸部X線など手術に必要な検査を行います。
手術当日
手術前に診察を行います。手術後は1時間ほど安静にしていただいた後にご帰宅となります。
全身麻酔の場合
診察
医師による問診・診察を行います。必要に応じてCT検査を行い手術の適応を判断します。
病院での診察
全身麻酔での手術となった場合は、提携病院にて麻酔科医による診察を行います。
術前検査
血液検査や心電図、胸部X線など手術に必要な検査を行います。
手術日前日
手術日前日に入院していただきます。
手術
手術を行い、1泊入院していただきます。
退院
翌日、診察を行い、問題がなければ退院となります。
手術全般の注意事項
手術の際には、貴金属、入れ歯、コンタクトレンズ、カツラを外していただきます。
手術後約1時間で飲水が可能になります。食事、歩行、トイレは手術後2時間ほど経過してからになります。
手術後はできるだけ禁煙を心がけてください。喫煙は傷の治りを遅くしてしまいます。
鼻の手術を受けた方へ
手術後、鼻腔に止血用のスポンジを挿入するため、鼻をかむ・すすることはできません。数日は少量の出血が起こる可能性がありますが、徐々に減っていき、おさまります。出血が多い場合にはすぐにご連絡ください。
耳の手術を受けた方へ
就寝時には、手術した傷口を下にしないようにしてください。
術後1~2日の注意事項
鼻の手術を受けた方へ
- 食事制限はありません。
- 力仕事などの重労働や激しい運動は避けてください。
- 湯船につかるのは禁止ですが、シャワーやシャンプーは可能です。
- 鼻をかむ、すすることは禁止です。
耳の手術を受けた方へ
- 食事制限はありません。
- 力仕事などの重労働や激しい運動は控えてください。
- 湯船につかるは禁止ですが、首から下のシャワーは可能です。
術後2日の注意事項
鼻の手術を受けた方へ
- 鼻を強くかまないでください。
- 鼻血や痛みがある場合、すぐにご連絡ください。
耳の手術を受けた方へ
- 傷口に当てているガーゼやネットは外さないでください。
- 傷口消毒のためご来院いただきます。その際には優先的に診察しています。
- 鼻を強くかまないようご注意ください。
術後3日の注意事項
手術全般
お仕事の復帰は手術内容や経過、お仕事内容などにより変わりますが、目安として術後3日目より職場復帰が可能です。ただし、無理はしないようお願いします。
鼻の手術を受けた方
術後3-5日でガーゼ抜去します(ガーゼの代わりにスポンジを軽く詰めます)
術後1週間の注意事項
鼻の手術を受けた方へ
術後5-7日でスポンジを抜去します。
術後8日目に、湯船への入浴が可能になります。ただし長湯は避けてください。
通院は、副鼻腔炎手術で週1~2回、アレルギー性鼻炎手術で週1回の頻度になります。
耳の手術を受けた方へ
術後8日目に、湯船への入浴が可能になります。ただし長湯は避けてください。シャンプーも部分的には可能になります。
通院は、月に1~2回の頻度になります。
術後2週間以降の注意事項
手術全般
重労働、激しい運動については、事前にご相談いただき、医師の許可が出てからとなります。
鼻の手術を受けた方へ
通院頻度は徐々に少なくなります。
耳の手術を受けた方へ
2週目は週3回、3週目は週1~2回の通院が必要です。
手術後3ヶ月間は、登山や飛行機の利用など高所移動禁止です。